2023年8月、アジュマンが木村牧場に移動して馴致を開始していた頃、クモは相変わらず狭いパドックと馬房でリハビリです。

確かこの頃、急な思いつきで「クモヒトツナイ」と名付けました。アメリカのバンド名からです。ブラーノ島の青空は全く意識してなかったので後から一応母名に関連してる事に気づきました。まだデビューできるかも分からないのに良い名前をもらったのでそこの運は持ってる馬でした。

2023年10月、アジュマンが既に人を乗せて調教をしている頃、クモはある決断に迫られました。予定では年内安静でしたが、2ヶ月前倒しして馴致を開始するかどうかです。

牧場アドバイザー「12月まで休ませてもケガが再発する時はするし、今動かしても多分変わらない。再発しなかったらこの2ヶ月は大きいし、ダメならダメで早めに諦められる」

獣医にも意見を求めました。

獣医「年内安静の方が安心だけど、今から運動させたら絶対ダメということではない。再発するかしないかはやってみないとわからない」

私はダメ元で前倒しで移動させる事にしました。常に再発のリスクと隣り合わせで馴致を開始したクモ。調教の強度が上がれば上がる程再発のリスクは高まります。

北海道の乗馬クラブ
「馴致では大丈夫でした。福島に行って本格的に乗り出してからどうなるかですね。良い馬をやらせてもらいありがとうございました」

福島の育成場
「ハロン20秒でも、17秒でも、15秒でも大丈夫でしたが、トレセンで12秒で走らせた時どうなるかですね。まだ油断はできないです」

デビュー前

堀内厩舎「脚は大丈夫そうですがまだ子供で、、歩くのも遅くてみんなと一緒に歩けないです、、でも先々よくなってくると思います」

松岡騎手「まだ体力がないから初戦は厳しいと思う。良くなるのはまだ先」

デビュー戦、3着。

全員「!!??」

ついこれまでの経緯を忘れて沢山求めてしまいますが、実はまだケガ再発のリスクはあります。走れているだけでも奇跡という事を私自身が忘れないように、先走って多くを求めないように、自分に言い聞かせる為に書きました。